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亡羊と遊ぶメランコリー――小説家志望・束木志埜のブログ

小説家を目指すわたくしのブログ。色々なことに関心を持ち、できる限りのことをしたく思います。小説・アニメ・漫画等々の感想や日々のこと、創作についても書いていきます。よろしくお願いします!

ネット小説『龍と奏でる英雄譚』第4話

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前回(3話)・次回(5話)

目次

前書き

 このお話は『第十一回小学館ライトノベル大賞』の一次通過、二次落ち作品です。よろしくお願いします。

 何処で切ろうか、意外と悩みまして、このような時間に一話だけの更新となりました。申し訳ありません。

 では、本編です。(前書きって不要なのかしら?)

 

龍と奏でる英雄譚――4話

 声が……聞こえた。
 それは優しげな、慈愛に満ちた声。
 それは砲撃のような、迫力の大音声。
 世界を優しげに包み込むのと同時に、世界の理を乱暴に破壊する――歌声。
 少女が朗々と歌い上げているのは、正しく、魔法を生むための『奏唱』であった。彼女が一音を奏でる度に、奇跡の気配が蔓延していく。
 酒場の喧噪は嘘のように静まりかえり、心臓の鼓動すらも一切感じさせない静寂のみが、空間を満たしていた。
 生まれて初めて雪を目にした子のように。
 刮目し、皆は奇跡を見守った。
  〈自己肯定を否定する
   自分一人も愛せない 
   哀れな人にはならないで
   どうか自分を一人だけ せめて誰かを一人くらい〉
 少女の音色は甘過ぎた。聴くだに耳が蕩けてしまう。
 両腕を広げ、何かを迎え入れるようにして、少女は奏唱を繰り広げる。彼女の周囲で、無数の音符が踊り始める。
 比喩ではない。
 数多の音符が、本当に少女を中心に据えて踊っているのだ。
 複雑な譜面が空中に出現したかと思うと、それが一息で少女の肉体を抱いた。彼女が音を空気に乗せる度、色付いた音符が譜面を染め上げていく。
  〈愛を与える 強い人にお成りなさい
   笑顔で誰かを抱きしめられる 
   素敵な貴方に 生まれなさい〉
 歌の終幕を切っ掛けとして、美しかった譜面が音を立てて砕け散った。それは『奏唱』の成功を意味していた。
《作詞作曲ザルテ・ドルパ 月歌の第五 序曲――自罰者たちへの鎮魂歌(レクイエム)》
 少女が曲名を宣言し、腰を折っての丁寧なお辞儀を披露する。
 すると、今まで圧倒されていた観客たちが、一斉に息を吹き返した。忘れていたことを心底恥じ入るように、遅れて拍手喝采が雨あられと降り注ぐ。
 しかし、少女は自らの功績に無感動であった。彼女の奏唱は、無意味に観客を喜ばせるために披露されたのではない。
 当然ながら、別の目的が存在している。
 そして、その目的は見事に達成されていた。
 ――ラウルの傷が、僅かにではあるが癒えていたのだ。
 オンボロの、年単位で使い古されたボロ雑巾を彷彿とさせたラウルの状態が、どうにか触っても嫌悪感の出ない程度の雑巾になっていた。
 これを奇跡と称せずして、何を奇跡と呼ぶのだろうか。
「楽器なしではこの程度が限界かしら? もっと良い曲ならば話は別でしょうけれど、応急手当くらいならこれくらいの曲で良いわよね?」
 腰のくびれに手を添えて、少女はラウルへと言い放った。
 満身創痍から脱したラウルは、感動を隠し切れずに、
「ありがとう」と素直な感謝を述べた。

 

   ▽

 

前回・次回

前回(3話)・次回(5話)

 

反省会

 今回はヒロインの登場と初魔法の使用でした。

 ヒロインの容姿を描写する際に、本当にただの描写になっているのがいだたけないような気がします。ただの特徴の羅列になってしまっているので、彼女の動作や言葉を交え、そこにふんわりと描写を滲ませる方が良いですよね。羅列になっているのは、本当に駄目な気がします。

 あと、魔法の描写。もう少し美しく描く努力が必要でしたかね。あと、映像的イメージが難しいかもしれないので、もっと読者の方がわかりやすいように描く必要もあったでしょう。

 魔法発動のためには『奏唱』が必要だということが、今回の話できちんと理解できて貰えているのかも定かではありませんね。説明を上手く、かつ短く簡潔にできるように、語彙力を高め、設定の曖昧な部分をなるべく生まないようにする技術を習得せねばです。

 

おわりのコーナー

 今日の語彙は『摩滅

すりへること。すれてなくなること。「靴底が摩滅する」

  

 あまり汎用性のある語彙であるとはいえないですが、比喩に交えると幅が広がるかと思われます。

 では、さようなら。