読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

亡羊と遊ぶメランコリー――小説家志望・束木志埜のブログ

小説家を目指すわたくしのブログ。色々なことに関心を持ち、できる限りのことをしたく思います。小説・アニメ・漫画等々の感想や日々のこと、創作についても書いていきます。よろしくお願いします!

ネット小説『龍と奏でる英雄譚』第9話

スポンサーリンク

前回(8話)・次回(10話)

目次

 前書き

 この作品は以下略。

 前書きがないと「続きを読む」ボタンが置けないのですよね。別に、置かなくても良い気もするのですが、ないとホーム的場所の最果てが途方もないことになってしまいますから。仕方が無いのです。

 ということで、本編です。

 龍と奏でる英雄譚――第9話

「てか、あんた。さっきオレが歌っていたのを呪歌とか言ってたな?」
「まさか、知らないで歌っていたの? ラウルくん、貴方……頭おかしいの?」
「あんたにだけは言われたくねえよ!」
「どうやら幸いなことに、あまりにも音痴過ぎて効果は出ていないようね。良かったわね、音程に見放されていて」
 全然良くなかった。
 文句を言いたくなるが、ラウルはそれを必死の思いで封殺した。文句を言う限り、ドロシーから解放されることはないだろう。
 もちろん、ドロシーのような可憐な少女と会話することは、ラウルにとっても素晴らしいことである。だが、間が悪かった。
 酒場で言い掛かりを付けられ、バロックアートには殺されかけて、好きだった女性を激怒させた。その激怒の原因が、自身を殺そうとした人間を軽口に使っただけだというのが、更に始末に負えない。
 このように、現状のラウルの精神状態は完璧には程遠い。精神的余裕に欠けた状態で変人と仲良くできる程、ラウルの人としての器は広くない。
 彼は決意する。
 さっさと歌を売って、この変人とおさらばしよう、と。
「まあ、オレに害がないなら、別に呪歌だろうがどうだろうが、問題ないわな。じゃあ、さっさと歌を買い取ってくれ……あれ、歌ってどう売るんだ?」
「もちろん、貴方が妾の前で、そのみっともない穴を開いて見せるのよ」
「穴じゃなく、口って言えよ!」
「さぁ、ラウルくんのお粗末なモノを早く見せなさい、妾に。トラウマになるくらいのしゅごいのを……」
「あんた、わかって言ってるだろ」
 ラウルは目撃した。ドロシーの目が泳ぐ場面を。
 最悪だ。
 溜息を盛大に排出した後、ラウルは観念したように歌い始め――ることはなかった。
 歌おうと口を開いたところで、ドロシーの細く綺麗な指が、ラウルの唇に封をしたのだ。歌おうにも、口が塞がれていてはどうしようもない。
 困惑の色を瞳に灯すラウルに、ドロシーはやれやれと肩を竦めて見せる。彼女の表情は『何してんのかしら、こいつ』とでも言っているようであった。
「歌には歌い手の精神状態が大きく影響するの。今の貴方が歌おうとしたのは、妾が望む歌じゃないわ。溜息を合図に始まる曲は今日の気分じゃないの」
「いや、歌なんていつ歌おうと同じだろ」
「だからラウルくんは音痴なのよ、モテないのよ」
「なんで知ってる!?」
 目を丸くして驚きを表現するラウル。一方のドロシーは、
「残念ながら今日は貴方の歌を買えそうにないわね。仕方がないから、先に報酬だけお支払いするわ」
「そ、そうか。それは悪い。で、報酬ってどれくら……」
 ラウルは絶句を強いられた。
「これくらいで足りるかしら?」
 そう言ってドロシーはラウルに袋を手渡した。中には溢れんばかりの――金貨が見え隠れしていた。

 

   ▽

 

 ラウルは大きく目を見開き、その場に卒倒しそうになるのを必死の思いで耐えた。
 今、ラウルの手の中には、彼には一生涯縁のないだろうと思われる程の大金が存在している。
 故に、ラウルはその場で商売人の笑みを作り、
「へへー、まさか貴女様がこんなに大金持ちだったなんて、オレァ全然知りませんで。これは今まで申し訳ありませんでした!」
 やや引き攣る笑顔を湛え、何度も揉み手を披露した。率直に言って、最低であった。
 その感想はドロシーも抱いたようで、
「ラウルくん……」
 彼女は軽蔑の眼差し――ではなく、哀れみ憐憫同情の眼差しをラウルに向けていた。流石のラウルも、その視線には耐えかねた。
「うるせえなあ! 生きる為の処世術だよ、この野郎!」
「一応注意しておくわね。妾は野郎じゃないわ」
「知ってるよ!」
 叫びを返しつつ、ラウルは大金(ゆめ)の詰まった袋も返却した。名残惜しさを微塵も隠し切れていないことが、更なる同情を買うこととなる。
 しかし、ラウルはその視線を打ち破った。

 

前回・次回

前回(8話)・次回(10話)

 

反省会

 キャラクター描写が続きます。ブログ記事で見ると、想像以上に長い気もします。ともすれば、間延びと取られても仕方が無い配分ですね。

 こうやってネット小説という形でお話を公開していくと、お話のテンポについてがよくわかりますね。ネット小説としては、この展開のスローさはかなり問題かと。もちろん、わたくしはネット小説がメインではなく、このお話も紙で読むことを第一としたお話であるという事実はございます。そして、フェアを語るため、敢えて改稿もせずにの投稿です。

 しかし、それでも限度というモノがありますよね。

 もう少し、読者さんを退屈させない展開運びが必要です。媚びすぎもいけませんが……配慮が少ないように見えます。

 実際のところはどうなのでしょうかね。

 紙として読むと、この展開の速度は不自然は少ないように自負しているのですが、どうなのでしょうか? ちょっとわたくしでは判断しかねます。

スポンサーリンク