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亡羊と遊ぶメランコリー――小説家志望・束木志埜のブログ

小説家を目指すわたくしのブログ。色々なことに関心を持ち、できる限りのことをしたく思います。小説・アニメ・漫画等々の感想や日々のこと、創作についても書いていきます。よろしくお願いします!

ネット小説『龍と奏でる英雄譚』12話

龍と奏でる英雄譚
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前回(11話)・次回(13話)

 

目次

 

前回のあらすじ

 ドロシーの目的はこの世に七つしか存在しない、禁じられた歌――禁歌(きんか)の蒐集であった。そして、ラウルとドロシーは、王国にやって来たという禁歌を奪うため、見世物小屋へと襲撃をかけることになる。

 だが、その前に一休み……

 ちなみに、このお話は小学館ライトノベル大賞の一次通過、二次落選作品です。つまり、そういう感じのお話だということですね。

 今日はもう一話投稿する予定です。

 前回、ラブコメが始まると申し上げましたね?

 あと一歩、届きませんでした。

 

 では、本編です。

 

  

龍と奏でる英雄譚――第12話

 

   ▽

 ラウル・シーンスには金がない。宿もない。ついでに言うと、人徳もない。
 普段は路上生活に甘んじており、稼いだ金も基本的にはすぐになくなる。そのようなダメ人間さが、今回の問題となった。
 ドロシーは呆れを交えた溜息を吐き出した。
「宿がないなんて、困るわ」
「そう言われてもな。ないもんはないんだよ」
 ドロシーとラウルは口論に興じていた。ドロシーはラウルの雇い主として、彼の動向を把握する義務がある。逃げられる訳にはいかないからだ。
 だというのに、ラウルには宿がない。家がない。
 夜のうちに逃げられてしまっては敵わないのだ。
 ドロシーは、金貨の詰まった袋をラウルに押しつけながら、
「これで今夜の宿を取りなさい。お給料の前払いよ」
「いらねえって! いや、よしんば貰っても、宿代になんて使わねえ。この金はさっきの店の修繕費と酒代に消える予定なんだよ!」
「計画性零ね」
 わかったわ、とドロシーは諦めた後に、小さな奏唱を行った。すると、金貨の袋は虚空へと消えてしまう。宵系の収納魔法だろう。
 それを見て、ラウルは呟く。
「やっぱり、魔法は便利だな」
「これくらいなら貴方も使えるでしょう?」
「使えはするけど、あんまり使えないな。オレの歌唱力だとナイフが数本入るくらいだ」
「ナイフ? 危ない人なの?」
「仕事道具だよ!」
 ラウルの行っている何でも屋の仕事は、意外とナイフの出番が多い。自衛にも使えるし、ちょっとした障害物の排除にも使える。
 ラウルは、自慢の商売道具である腰に差した五本のナイフを軽く撫でた。
「とにかく、オレは逃げも隠れもしない。だから安心しろって」
「逃げも隠れもしなくとも、迷子になるかもしれないわ」
「信用なさ過ぎだ……子どもかよ、オレ」
 信用されるのも、期待されるのも嫌だが、ここまで信用がないと悲しくなってくる。自分勝手ではあるのだが、気持ちの問題なのでどうしようもない。
「仕方がないわ。こうしましょう」
 言うと、ドロシーはラウルの手を取った。
 突然の接触にあたふたとしてしまうラウルを置いて、ドロシーは歩き出した。彼女は動じるラウルを一顧だにしない。
「何処に行くんだ、ドロシー」
「宿屋よ」
「いや、だから宿には行かないって――」
「貴方の宿代は妾が出すわ。お給料から差し引いたりはしないから、安心してちょうだい」
 まさかの奢り宣言に、ラウルは目を剥いた。
「それは流石に悪い。そこまで言うなら、最悪この愛刀を売り払って……」
「貴方の戦力を無駄に削ぐつもりはないわ。遠慮しないで。妾と貴方の仲でしょう」
「雇い主と雇われの関係って、そういうもんなのか?」
「いいえ、妾とラウルくんはお友達でしょう?」
 いつ友達になったんだよ、とラウルは口の中だけでツッコミを入れた。

 

   ▽

 

前回・次回

前回(11話)・次回(13話)

 

反省会

 丁度良いところを探した所為で、今回の更新分はかなり短めとなっております。申し訳ありません。しかし、もう一話更新する予定(もしかすると、更に一話投稿するかもです)なので、どうかお許しください。

 

 今回はラウルの性格とドロシーの性格をよく知って貰おうという回です。派手な部分はありません。もしかすると、ラウルもドロシーもライトノベルキャラとしては薄すぎるのではないだろうか、という懸念があります。破天荒にすれば良いというわけではありませんが、キャラクター小説とも形容されるライトノベルとしては致命的……!

 もう少し、キャラクターの個性、掘り下げに多く紙面を割いても良かった気がしますね。

 

 あと、これは言い訳なのですが、やはり紙で読むのとネット上で読むのとでは、雰囲気が全然違いますね。わたくし、紙で見たときはそこそこに良い感じなのではないかと自画自賛していたのですが、いざネット小説という形態に変化してしまうと、自身の実力のなさを恥じ入るばかりです。

 紙に印刷してしまうと、なんだか完成度が高い錯覚を得てしまいますよね。これに翻弄されるのはいけないことです。ちゃんと、紙以外で見ても完成度の高いお話にせねばなりませんね。

 

 

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前回・次回

前回(11話)・次回(13話)