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亡羊と遊ぶメランコリー――小説家志望・束木志埜のブログ

小説家を目指すわたくしのブログ。色々なことに関心を持ち、できる限りのことをしたく思います。小説・アニメ・漫画等々の感想や日々のこと、創作についても書いていきます。よろしくお願いします!

ネット小説『龍と奏でる英雄譚』13話

龍と奏でる英雄譚
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前話(12話)・次話(14話)

 

目次

 

前回のあらすじ

 金のないラウル。宿のないラウル。人徳もないラウル。彼にあるのは、腰に差した五本のナイフと宵系(闇系)魔法によって収納したナイフが数本のみ。彼にはナイフしかなかった。完全に危ない人である。キレたナイフとは、彼のこと。

 ということで、今回はラウルくんイン宿屋です。この世界の高級ホテルがどのような場所なのか、是非ともごらんください。

 

 あ、あと、このお話は以下略。

 では、本編です。

 

 

龍と奏でる英雄譚――13話

 

   ▽

 そこは王都でも一二を争う程の宿であった。
 宿屋――『銀鈴の宿』は、この王都フーテにおいて、第二の王城であると言われている。それくらいに壮麗な建物なのであった。
 まず、門がある時点で有象無象の貧乏人を弾き飛ばすだろう。
 一流の職人の手で整えられた庭は、逆に人の手を感じさせない自然美を極めている。大樹と花々が織りなす幻想曲は、ただの歩みを娯楽に変えてくれる。
 庭に見惚れていると、本館に辿り着く。
 そこは正に、風光明媚をそのまま建物の形にしたかのようである。宿屋を構成している石の一つ一つが、優しげな白を誇っていた。屋根も実に立派なモノで、見ているだけで圧倒される。
 巨大な本館を守護するかのように、建物が二つ両脇に君臨している。
「やばい。狂いそうだ」
「大丈夫? 早く中で休んだ方が良いわ。特殊な魔法によって、ベッドが回転するらしいの」
「何だよ、その謎機能は」
 何の意味があるのかまったく意味不明のおもてなしの存在に、ラウルは顔を青くする。やはり、金持ちの発想は理解できない。
 ドロシーの案内で、クラクラするような建物内を案内される。
 道中の装飾の全てが、ラウルには価値がわからなかった。富裕層の贅沢は、次元が違い過ぎて庶民の心には響かないときがある。
 しばらく、半ば放心状態で手を引かれていると、ドロシーが唐突に立ち止まった。
「着いたわ。貴方は今日、ここに泊まるのよ」
「……オレ、内蔵売られちゃうの?」
「何を言っているのかしら? 今の時代、内蔵の価値はそこまでないわよ」
 月系の奏唱の発達により、物理的な治療手段の意味は薄れている。治療専門の奏唱師の台頭により、医者の需要は地に落ちていた。
 奏唱師と言っても、得意とするジャンルはそれぞれ異なる。
 戦闘が得意という奏唱師もいれば、店先で音を拡張するだけの奏唱師もいる。後者の場合、ただ音を拡声しているだけでなく、それとなく商品をよく見せる歌を歌っているのだが。
 ある種、洗脳とも言える行為だ。
 当然、やり過ぎると、国直属の聖歌隊がやって来る。
「何をしているの、入りなさい」
「いや、ちょっと緊張してな」
 立ち止まるラウルの前には、重厚な雰囲気を放つ扉があった。扉の持つ威厳は、ラウルのそれとは到底比べものにならないだろう。扉に威厳で敗北する男、ラウル・シーンス。
 震える手で扉へと手を伸ばすラウルを見ていられなくなったのか、ドロシーがさっさと扉を開いてしまった。
 その所為で、ラウルは目撃してしまった。
 広い部屋だ。まだ照明が点いていないので全貌は定かではないが、それでも、ラウルの口を開きっぱなしにするのには十分な大きさだ。
 その異様な面積に対して、内装は簡素であった。木製のテーブルがあり、その正面には赤のソファが設置されている。
 その他にはもう天蓋付きの巨大なベッドしかない。泳げるのではないかと思わせるくらいに広大なシーツの海。汚れ一つないシーツは、純白の雲を連想させる。
 ラウルは想像する。
 あのベッドに飛び込んだら、どれ程気持ち良いのだろうか、と。
 部屋を目撃しただけで言葉を失うラウルを鼻で笑い、ドロシーが先に部屋に入ってしまう。ラウルも遅れて、室内に入ってから――気付く。
「おい、なんであんたも入ってくるんだよ! ここはオレが泊まるんだろ? いや、別に泊まりたい訳じゃねえぜ。こんなところ、かえって心が休まらねぇ」
「何を言っているの? 貴方もここに泊まるけれど、同時に妾も泊まるに決まっているじゃない。ラウルくんの為に一室取れる程、この宿に空き部屋はないのよ」
「あんた、警戒心何処に忘れたんだよ。拾って来いよ」
 心配するラウルをよそに、ドロシーは――服を脱ぎ始めた。
 ラウルは耳まで真っ赤にすると、悲鳴を上げて自らの顔を手で塞いだ。彼の意思とは関係なく、本能が邪魔をして指が肝心の瞳を隠していないのはご愛嬌だ。
 しっかりと、ラウルはドロシーの下着姿を視認する。
 髪の色と同色の、清楚な白。それが薄く胸を覆っている。決して、ドロシーの胸は大きい訳ではない。それでも、形の良い二つの膨らみは、ラウルの情欲を確かに撫で上げる。
 白い肌は、触れずともしっとりとした感触であると確信できた。
 細い腰には、つい手を置きたくなってしまう。抱き寄せたくなる。
 下半身に目を向けると、下着越しに薄らと観察できる身体の形が艶めかしい。見よ、太ももの見事な細さ、美しさ。肉付きの良い太ももも良いが、ほっそりとしたふとももの、一種背徳的な色合いは言語化するまでもなく尊い。
 微かにカーテンの開いた窓から指す月光と混ぜると、目の前の光景は立派な芸術と言えた。
「くっ」
 ラウルは己の鼻から熱い何かの流出を確認した。
「何を見ているのかしら。不潔よ」
 言うドロシーは、顔がほんのりと赤らんでいる。恥ずかしいのだろうか。
「そんなこと言われても困る。急に美少女が脱ぎ出して、見ないでいられる奴はオレじゃねぇ」
「妾だって恥ずかしいの。でも、服を着たまま寝るのはどうにも気持ち悪いから……」
「まさか、下着も脱ぐんですかぁ!?」
「変態」
「何処がだよ。通常反応過ぎて、自分でもびっくりしてるわ」
 年頃の男性として真っ当な暴論を放ち、ラウルはやっとドロシーのあられもない姿から視線を離した。

 

前回・次回

 前話(12話)・次話(14話)

 

反省会

 さて、お色気系のシーンです。やはり、こういうのも入れなくてはという意識と、書いていて楽しいな、という意識があります。ただし、わたくしはあまり官能小説とか読まないので、描写がどうにも甘い。もっと激しく、蠱惑的に描きたいモノです。こういうことに関する語彙も、ませた中学生男子程度にしかないので、読むモノのジャンルを増やさねばなりませんね。引き出しも増えますし、知識も増えます。新たな発見だってあるはず。

 おすすめの官能小説を教えてほしいものです。妹モノだと、わたくし嬉しい……

 

 あと、風景描写を入れたくて、ちょっと無理矢理気味に宿の外観等々を描写しましたが、正直、これは紙の無駄ですね。すべての描写は必要があるべきだと思うのですが、今回の宿の描写は不要でした。偶には風景でも……という安易が見え隠れしておりますね。これは駄目、いけない。

 無駄なモノを省く勇気を持たねばなりませんね。

 

 

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