読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

亡羊と遊ぶメランコリー――小説家志望・束木志埜のブログ

小説家を目指すわたくしのブログ。色々なことに関心を持ち、できる限りのことをしたく思います。小説・アニメ・漫画等々の感想や日々のこと、創作についても書いていきます。よろしくお願いします!

ネット小説『龍と奏でる英雄譚』14話

龍と奏でる英雄譚
スポンサーリンク

前回(13話)・次回(15話)

 

目次

 

前回のあらすじ

 突如として脱衣を披露したドロシー。それを目撃してしまったラウルは、年頃男性としては真っ当な反応を見せた。しかし、その所為で変態という汚名を被ってしまうこととなる。果たして、彼は汚名を雪ぐことができるのだろうか。

 ということで、よろしくお願いします。本編です。

 

 

龍と奏でる英雄譚――14話

「変態」

「何処がだよ。通常反応過ぎて、自分でもびっくりしてるわ」
 年頃の男性として真っ当な暴論を放ち、ラウルはやっとドロシーのあられもない姿から視線を離した。
 新鮮な傷口から流れる血液の如く、ラウルの心臓はドクドクと激しい音を立てたがる。
「いつまでもそこにいないで、お風呂にでも入ったらどうなの? 妾、埃と汚れに塗れた人と同じベッドで寝るのは嫌よ」
「どうして同じベッドで寝ることになってるんだ」
 とはいえ、ドロシーの提案は中々に魅力的であった。ラウルとて人間なのだ。汚れているよりも、清潔な方が爽快な心持ちになれるのは当然であった。
 普段は酒場の主人の好意に甘えたり、酒を死ぬ思いで我慢して風呂に入っている。
 入れるのならば、入ってしまいたいのが人情であった。
 それにここは王都でも最上位の宿屋。風呂の気持ち良さはきっと想像を遙かに上回ると考えておいて間違えはない。
 ごくり、とラウルは喉を鳴らした。
「わかった。じゃあ、オレは風呂に入るぜ」
 風呂は部屋毎に用意されている。
 ベッドの横を通り抜け、ラウルは一目散に脱衣所へ入った。
 バロックアートにやられたことによって、ラウルの服装はボロ布と化していた。最低限服の様相を保てているのは、バロックアートが剣を抜かなかったからだろう。奴の無駄に自尊心の発達した精神性に救われた形となる。
「ま、そもそもやったのはあいつだけどな」
 ラウルは酔いの抜けた身体を温めるべく、また、汚れた身体を清めるべく、風呂の中に入った。風呂は真っ暗であった。
 だが、
「よっと」
 ラウルの指が鋭く鳴った。親指と中指を擦り合わせて、破裂音を奏でる。所謂、フィンガースナップと呼ばれる行為であった。
 ラウルの出した音に呼応して、予め用意されていた魔法が発動する。
 灯属性の照明魔法だ。
 風呂場の照明は、何を狙ったのか意外なことに桃色であった。
 落ち付かないが気にしていてもしょうがない、とラウルはリーテムルの鱗を手に持つと、それで身体を洗い始めた。鱗のふわふわとした感触が、とてつもない多幸感をもたらす。
「なるほど、良い鱗使うとこんなにも泡立ちが違うのか」
 鱗が肌を行き交う度、泡が排出される。その泡はあっさりとラウルの汚れを取り払う。
 身体を洗い終わると、次は頭だ。
 ラウルは軽く奏唱を行い、灯属性の魔法を放った。
 それは水を少しだけ温める効果を持った生活魔法である。
 歌い終えると、ラウルは指を鳴らした。それだけで準備されていた水がラウルの髪を濡らす。
 髪を濡らし、いよいよラウルが頭を洗い始めようとしたときだった。
 ラウルの背後で、扉の軋む音がした。
 慌ててラウルは念の為に持ち込んでいた短剣を掴み、立ち上がる。
「誰だ? ドロシーはどうしやが――」
 入浴中の人間というのは、隙の塊だ。だから、そこそこに危険な目にも遭ったことのあるラウルは、入浴中にも油断しないように心掛けている。
 ドロシーがいる以上、襲撃の確率は少ないが、警戒に越したことはない、と。
 ラウルはそう考えていた。そして、風呂場の扉が開けられたということは、最悪の展開が訪れたに過ぎない、とそうとも考えていた。
 だが、全ては杞憂だった。何故ならば、
「その……見せつけないでくれるかしら。……困るわ」
 そこにいたのは――ドロシーだったからだ。
「何でだよ!」
 ラウルの裏返った悲鳴が、風呂場に何度も反響した。

 

   ▽

 

前回・次回

前回(13話)・次回(15話)

 

反省会

 生活魔法の説明がくどい気がします。そこまで重要な要素ではないのですが、音楽によって魔法が使える社会というのを、ある程度描いておく必要があるかなと差し込んでみました。懸念としては、普通にこれ不便な気がするということでしょうか。まあ、それは現代ではないので仕方が無いのですが。

 あと、結構、わたしくは想像力が欠如しておりまして、音楽が基礎となっている世界観が自分で描いていて細かく理解できていないのです。これからは、作中に登場しない要素でも、世界を深めるために設定しておく必要がありそうです。別に、設定すべてを使う必要はないのですからね。

 

 現代でないというので、もう一つ。横文字についてです。

 わたくしは結構普通に使ってしまいますが(例、プライスレスなど)、これはどうなのでしょうかね? 今回もフィンガースナップを出しております。

 江戸ものとかでは絶対に駄目ですが……

 

 ただ、例えば、このお話にスマホは出しませんよね。新幹線とかも。

 よく、ファンタジーものではカタカナを使わないという拘りを見かけるのですが、西洋ファンタジーの場合、寧ろ積極的に使うのが普通だと思っておりました。何せ、西洋ですからね。もちろん、拘りは好きにするのが良いのだと思います。

 これはあくまでも、個人的な趣向ですから。

 

 その世界にない言葉(サラリーマンとか)は出すべきではありませんけれど、無理矢理フォークとかを肉叉にせずとも良いかなと、と。まあ、夏目漱石とか、その辺りへのリスペクトなのでしょうし、むしろ、拘りを持つことの方が素晴らしいのかもしれませんね。さじ加減がよくわからないところです。

 

 では、さようなら。

 

 

スポンサーリンク

 

前回・次回

 前回(13話)・次回(15話)