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亡羊と遊ぶメランコリー――小説家志望・束木志埜のブログ

小説家を目指すわたくしのブログ。色々なことに関心を持ち、できる限りのことをしたく思います。小説・アニメ・漫画等々の感想や日々のこと、創作についても書いていきます。よろしくお願いします!

ネット小説『龍と奏でる英雄譚』29話

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前回(28話)・次回(30話)

 

目次

 

前回のあらすじ

 聖歌隊団長、クルスとの会話によって自らの無力さを悟ったラウル。しかし、彼は彼の中にある最善の動きをしたはずだった。その結果は報われないのだけれど……

 どうすることが正解だったのか、自分はどうするべきだったのか、彼は思い悩むこととなる。それは即ち、彼自身、自らの何処かに非があることを認めているようで。

 という感じのお話です。

 ちなみに、最近はわざわざ言いませんでしたが、このお話はとあるライトノベル賞の一次通過、二次落ち作品です。それを念頭に置いて読んでくださることによって、どこに敗因と勝因とがあるかを、読者の方々は思考してくださると幸いです。そして、結論が出ましたらば、こっそりわたくしに教えてくださると幸いです。

 とはいえ、最後の方においてある反省会で、わたくしも考えてはいるのですがね。

 

 では、本編です。

 

 龍と奏でる英雄譚――29話

「どうしろって言うんだよ。オレにはああするしかなかった。わかんねえよ……オレにはどうすれば良かったのか、わかんねえよ」
 ラウルの行動は、基本的に母親の言い付けが根本にある。助けたい、ではなく、助けなくては。それこそがラウル・シーンスの正体。
 誰かを助けなくてはいけないという義務とドロシーに傷付いて欲しくないという気持ち。
 半端な考えを抱き、それを必死に追い求めた結果は、何も手にすることの出来ない現実であった。どちらも守るという大き過ぎる願いは、ラウル一人の力では届かない境地だったのだ。
 到着時、既に守るべき人々は全滅していた。 
 死にそうになった時、ドロシーに助けられた。
 何もなせていない。ラウルにはもう何も、ない。
 俯き、視線の定まらぬまま、ただラウルは周囲を見つめた。それは意味のある行為ではなく、少しでも気持ちを安らげようとする、心の防衛本能であった。
 防衛本能の働きにより、ラウルは違和を覚えた。そもそも、ここは何処なのだろうか、と。
 ラウルの視線の意味に気付き、クルスが溜息を吐く。
「ここは牢獄です、ラウル様」
 ラウルとクルスの間には、冷たい鉄の柵が見える。誰に対しても情けを見せることのない、鉄の番人が無機質に立ち塞がっていた。
 ラウルは投げやりな気持ちを、そのままクルスへと向けた。
「オレが何かやったのか? 投獄されるようなことをさ」
「いいえ。しかし、貴方は数日後に罰せられます。罪状は――オーケストラと聖歌隊員の殺害。並びに、教会の破壊です」
 衝撃の罪の内容ではあったが、ラウルは何も言葉を発しない。というよりも、発する気力がなかったのだ。自身がどうなろうとも、今の彼には構わなかった。
 ただ、ドロシーの命がまだ輝いているのか。それだけにしか興味は無かった。
「随分と冷静なのですね。露骨な冤罪ですよ?」
 クルスは拍子抜けだ、とでも言いたげに表情を歪める。どうでも良かった。
「今更、オレがどうなろうと何にもならねえ」
「悲しい生き方ですね」
「放っておけよ」
 クルスは柔和な笑みに硬いモノを作りつつ、ラウルに説明した。
「貴方は数日後、罪歌七音ミュゼル・ラインの罪を被って貰い、代わりに処刑されてます。これは民の心を守る為の判断。我々の力不足故に生じたこと。どうか、僕たちをお恨みください。そして、民の心が救われるのは貴方の功績であり、我々には一切の功はなく――」
「別に、聞いても仕方ねえし、もう良いよ」
「いえ、貴方には聴く権利がある。貴方が処刑される理由を」
 真摯なクルスの態度に、ラウルは乾いた笑いを浮かべると、一度軽く頷いた。
「それであんたの気が楽になるなら、聴いてやるよ」
「……ばれていましたか。自罰を与え、少しでも楽になろうとした、僕の浅ましさを笑ってやってください」
 損をする生き方だな、とラウルは思った。
 ラウルはじっくりと、クルスの話に耳を傾けた。
 ラウルが処刑されるのは、民の心を守る為だ。生活を支えていたオーケストラの全滅は、民を一瞬で不安の坩堝に叩き落としたという。そして、オーケストラやその場にいた聖歌隊を皆殺しに出来る化け物が、街を彷徨いているかもしれないというのは、民にとっては不安では済まされない大問題だ。
 故に、犯人を作り上げる。偽の犯人を作り処刑すれば、少なくとも民は犯人に怯えなくて済むようになるのだ。
「罪歌七音って公表しないのは、民を必要以上に怖がらせない為か?」
「無論、その意図もありますが、真の狙いは別にあります。これは我々が調査して知った極秘情報なのですが、罪歌七音はとあるモノを探すことが目的の組織です」
 本来ならば答えてはいけないだろう質問にも、クルスは素直に答えをくれる。彼なりの誠意の表し方なのだろう。
 だが、ラウルもその情報は既に知っている。
「禁歌を狙ってるんだったよな」
「……よくご存じで。では、この情報はご存じですか? 実は、罪歌七音は協力関係にない、ということを」
「は? 罪歌七音ってのは組織名なんだろ? 協力しねえのか?」
「奴らは禁歌を他の誰にも渡すつもりがありません。仲間にさえ」
 つまり、ミュゼルは仲間にすら内緒で、この王都フーテに禁歌を蒐集に来た、という訳だ。なるほど、クルスの話の方向性が見えてきた。
ミュゼルの――罪歌七音の名を公にすると、他の罪歌七音が来るかもしれねえんだな」
「その通りです。ミュゼルがこの王都で暴れたという事実を公表するのは、ここに禁歌があることを宣伝するようなモノ。ミュゼルだけでも致命的なのです。他の罪歌七音までやって来れば、この国は確実に――滅びます」
 ミュゼルの名は出せない。けれども、犯人不明で置いておくには、事態が大きくなり過ぎている、ということだ。
 ミュゼルの代わりに死刑になるという大役に、ラウルは選ばれてしまったのだ。
「わかった。その役引き受けるよ」
「……本当によろしいのですか?」
「オレなんかにできることとしちゃあ、上等な部類の役目だよ」

 

前回・次回

 前回(28話)・次回(30話)

 

反省会

 さて、この回がわたくしの中でもっとも恐れていた回です。といいますのも、みなさん、この処刑があまりにも強引で唐突だと思われたのではないでしょうか。もちろん、理由は作中で述べております。けれど、あまりにも理不尽(理不尽を味合わせることがこの回の目的でしたが、あまりにも大味過ぎる気がするのです)で、読者の方が萎えるのではという未来も想定できます。

 これを公開するにあたって、もっとも読者さんに無能を晒せ出すことになるのが、今回であるという確信がございました。

 みなさんはどう感じられましたか?

 

 まあ、ともかく。次回からは書きたい展開の為に作品を殺さぬように努力いたします。ここは本当に注意点ですね。

 わたくしがプロではなく、アマチュアの座に甘んじているのは、まずプロ意識が欠如しているからでしょう。プロを目指すのですから、プロ意識を持つ必要があるでしょう。どうせ素人だから……という甘えこそ、我が大敵に違いありません。

 当然、他にもわたくしがアマチュアである理由は思い当たっております。一つずつ虱潰しにしてやり、少しでも見えた長所は必ずや大木へと変えて見せます。

 

 

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