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亡羊と遊ぶメランコリー――小説家志望・束木志埜のブログ

小説家を目指すわたくしのブログ。色々なことに関心を持ち、できる限りのことをしたく思います。小説・アニメ・漫画等々の感想や日々のこと、創作についても書いていきます。よろしくお願いします!

ネット小説『龍と奏でる英雄譚』38話

龍と奏でる英雄譚
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前回(37話)・次回(39話)

 

目次

 

前回までのあらすじ

 再起にわくラウル。彼は英雄として、王都フーテを守護するため、その剣を振るう覚悟を決めた。都中に散らばった傲慢の禁歌によって創造された生物、そして、罪歌七音のミュゼル・オーケストラ。

 打倒するべき強敵は数あれど、ラウルは立ち向かうことを止めない……

 

 みたいな感じにいきたいものですね。

 ということで本編です。

 

 龍と奏でる英雄譚――38話

 

   ▽

 

 その男は涙ながらに、王都内を逃げ回っていた。手の中には小さな刃が握り締められている。しかし、その刃が真価を発揮することはない。
 それ程に、男の技量が足りていないのだ。
 その男は弱かった。
 先日も、酔った勢いで無の英雄ラウル・シーンスに向かっていき、子どもをあやすような要領で撃退されてしまっていた。脅しに武器を手にしただけ、そのような男だ。
 だけれども、
「あんなことしなけりゃ良かった!」
 男は一人、謎の動物に追いかけられている。それは、彼が先程、小さな子どもを助けに入り、あの動物に一太刀入れてしまったことが原因となっている。
 結果として、子どもは殺されずに済んだ。だが、その代わりに自分が死んでしまいましたではお話にならなかった。
 背後に迫る動物は、あまりにも速い。追いつかれるまでに、後数秒もないだろう。
 判断は一瞬。
 恐怖から来る蛮勇が男を振り向かせた。
 振り向きに合わせ、刃を一閃。
「……う、くぅ」 
 されど、狙わない太刀筋に怯むほど、野生は甘くはなかった。動物は、容易く男の斬撃を回避して見せると、その勢いで牙を剥く。
 ここまでか、と男は目を閉じ、痛みを覚悟した。
 叶うことならば、できるだけ痛くなければ良い――と、諦観的な希望を夢見ていると、動物の甲高い絶叫が轟いた。
 声に驚愕し、男はふと目を開く。
 そこには――背があった。
「お、お前は!?」
 男の眼前、彼を庇うように立つ背が存在している。
 動物は突如現れた乱入者を警戒し、距離を取っていた。
 動物が距離を取らされてしまうくらいに、乱入者の放つ気迫は鬼気迫っていた。
 乱入者は満身創痍だった。纏う衣服はぼろ布のようだ。薄らと血が滲んでいる。立ち姿には何処か、今にも倒れてしまいそうな不安定さがある。
 だというのに、乱入者は引く様子を見せない。
 乱入者の名を、自身を庇う背中の名を、男は反射的に口にしていた。
「ラウル・シーンス!?」
 どうしてラウルがここに、という疑問よりも早く、ラウルが動く。
 その速度は――雷のようですらあった。
 男の目にはラウルが消えたように映った。
 ラウルが軽く一歩を踏んだかと思うと、直後、爆裂音。それはラウルの足音であった。激し過ぎる踏み込みが爆裂を伴い、視認不可能の速度を実現する。
 ラウルは自身の動きが捕まらぬよう、左右に跳ぶように加速した。
 爆裂の音は――六つ。
 即ち、
「――ここだ」
 ラウルの手の中で銀閃が駆け抜けた。
 ラウルの短剣が動物の瞳を撫でていた。血飛沫が舞い、周囲を汚す。
「悪いな、上手く殺してやれなくてさ」
 痛みと視界の消失にのたうち回る動物の首へ、ラウルの短剣が吸い込まれていく。
 動物はそれっきり動かなくなった。
 ラウルもその場にしゃがみ込み、息をどうにか整えようとしている。全身からは湯気が出て、先の攻撃がどれだけ命を削ったモノかを物語っていた。
 男は喉に言葉を詰まらせながらも、口にできなかった問いを発する。
「どうしてお前がここに……それに、どうして俺を助けてくれたんだ? 俺はお前に斬りかかったんだぞ? 助ける理由なんてない筈だ」
「助けねえ理由もなかった。それだけだ」
 目を丸くする男を一顧だにせず、ラウルはその場から立ち上がった。関節を激しく動かし、自身の体調を確認する。
「今のと同じ動きは、やっぱり負荷が掛かり過ぎるか。できて後二回だな」
 状況は以前最悪だ。
 動物を一匹倒したところで、まだまだ敵は無数にいる。数えるのも面倒だ。
 それでも、ラウルは剣を握る力を緩めなかった。
 瞳には曇りのない勇気が灯り、口元には強引な笑みがある。彼は短剣を一振りして血を払うと、また戦地に身を投じようとした。
 そこに――希望が駆け寄ってきた。

 

   ▽

 

前回・次回

 前回(37話)・次回(39話)

 

反省会

 さて、今回の……というよりも、今回からの反省点なのですが、長い。あと、似たような展開が続きます。正直、悪手も極まったな、という感があります。

 かつてに登場させた人物をどうにか活用していこうという試みの結果でしたが、そこに引っ張られすぎて大切なモノを取り零してしまったご様子。設定とプロットの断捨離がどれほど重要か、身にしみて解る失敗ですね。これは良い失敗をしました。

 もしや、わたくしは失敗をする才能があるのやも。

 

 失敗は良いです。成功と違って解りやすくて、反省するだけである程度の改善ができるのですからね。ただし、正しい反省でなければ、より深い失敗の底へと叩き落とされかねません。

 反省会も、これからはちょっとだけ慎重にせねばなりませんね。

 

 

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前回・次回

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