亡羊と遊ぶメランコリー――小説家志望・束木志埜のブログ

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ネット小説『龍と奏でる英雄譚』40話

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前回(39話)・次回(41話)

 

目次

 

前書き

 現在、ようやく、ようやく、新作を書き始めることに成功しました。とはいえ、また自己ボツをきめるかもしれませんので、戦々恐々としております。どうしても冒頭が情緒になってしまい、また、設定が多い場合は説明的になりすぎるきらいがあるので、そこは地道に改善していく必要がありそうです。

 ある程度は妥協して、取り敢えずの完成を目指そうかと思います。そして、後の推敲にして、荒い部分を消し去っていこうかと。

 

 ちなみに、今回のお話は荒いです。

 詳しくは反省会にて。

 本編。

 

龍と奏でる英雄譚――40話

 

   ▽

 人々の悲鳴を聞き届け、ラウルとふわふわは王都フーテを疾駆する。
 石製の地面を、ふわふわの硬質な爪が掴む硬質な音が連打される。風に乗るふわふわの足取りは、驚く程に速かった。
 それは思考の全てをラウルに委ね、己は無心に走ることだけに全霊を賭しているからだ。
「おい、あんた!」
 ラウルの視線の先、そこには酒場の主人がいた。
 酒場の主人は、逃げることもせずに、周囲を行ったり来たりと無意味に走り回っていた。このままでは、いつか動物に襲われてしまうかもしれない。
 ラウルの声に気付き、酒場の主人は裏返った声を上げた。
「どうして生きてる!?」
「哲学かよ……オレにはわかんねえぞ」
 と、ラウルの軽口にも、酒場の主人は反応を見せない。ラウルを前にしても、しきりに周囲を気にしている。不審に思い、ラウルは声を掛けた。
「どうしたんだ?」
「孫が見つからない。見なかったか? ここで待っとくように言ったのに」
 酒場の主人は動転していた。
 普通ならば、周囲に居なければ別の場所を探すだろう。しかし、下手に待ち合わせなどをしているから、この場から動けないでいるのだ。
 酒場の主人の顔色は、嘘のように悪かった。まるで、今の天気のように曇っていた。雨が降り出すのも時間の問題かと思われた。
 ラウルは見かねて、酒場の主人に提案する。
「オレも探してやるよ。で、あんたの孫は何処に居そうなんだ?」
「わからん。だが、しっかりした子だから馬鹿なことはしていないと思うが……」
 ラウルは周辺を見渡し、得た違和感をそのまま口に出した。
「ここはあんたの店からは離れてるよな? どうしてここが待ち合わせなんだ?」
「この近くに孫と二人で住んでいるんだ。だから、何かがあればここで集合というように言っていたんだが。もう孫は獣の手に掛かって……」
 酒場の主人は最悪の想定に心を折り、その場に座り込んで嗚咽を漏らし始めた。過呼吸に陥り、涙が石の地面を濡らしている。
「……あんたはさ」
 と、ラウルは最悪の想定をねじ伏せるように言った。
「さっきまで店にいたのか? この時間はまだ営業準備の時間だろ?」
「そうだが?」
「あんたを探しに、お孫さん、店に行ったかもしんねえ」
 それはラウルの直感であった。根拠はないし、そこに酒場の主人の孫が居るという確証はない。普通に迷っているだけかもしれないし、既に動物の腹の中でぬくぬくしているかもしれない。けれども、最悪の想定に惑わされて、抗うことを止める訳にはいかない。
「乗れ」
 言い、ラウルは酒場の主人へと手を差し出した。
「オレにあんたの孫を、あんたを――助けさせてくれ」

 

   ▽

 酒場の主人の店は、商人通りの更に奥にある。まずは商人通りに入らなくてはいけないのだが、ここに今、障害が立ち塞がった。
 その障害は人の姿をしていた。
 騎士甲冑に身を包む、人の姿をした――悪夢。
「やあやあ、ラウルくん。奇遇じゃないか」
 バロックアート・クローバーがラウルの前に立ち塞がった。既に、ご丁寧なことに剣底に指を触れさせている。
バロックアート、どうしてあんたがこんなところに?」
 ラウルとしては、バロックアートがここで立ち塞がってくる理由がわからない。故に問うたのだが、その問いはバロックアートの失笑を買った。
 バロックアートは、その身を戦闘態勢に整えつつ、いつでもラウルを殺せる間合いを計っている。
「ボクは剣の英雄バロックアート・クローバー。世界にたった六人しか存在できない英雄の一人。ボクの命はこの国の誰よりも重いんだ。つまり、無駄な危険を冒してはいけないのさ、ボクはね」
「逃げてきたってことか?」
「口に気をつけなよ。今のボクは気が立っているんだ」
「あんたは英雄だ。だったら、こういうときこそ人の為に動かなくちゃいけねえだろうが」
「最初はボクだってそう思ったさ。丁度良い英雄活動になると思ったんだけどね。この動物たち、厄介なことにボクの斬撃があまり有効ではないのが混じっていたのさ」
 剣の英雄は言う。この王都でも、屈指の実力を持つ、その気になれば誰だって救えそうな英雄が……ほざいた。
「戦えば勝てるだろうけど、念には念を、だよ。あれがもう十匹も現れれば、ボクとて怪我をするだろうから。ボクはこの王都から出ていくことにしたよ」
 それは見捨てるということだ。
 力があるのに、バロックアートは己の身可愛さにこの場から逃げるのだ。
 普通の人間ならば、その選択は正解と呼んで良いモノである。だが、バロックアートは違う。あれは英雄として、周囲から常に優遇されてきた人間だ。
 英雄として扱われてきた人間だ。英雄としての扱いを受け入れてしまったバロックアートは、英雄の道から逃げてはならない。それは裏切りと同義だ。
 だというのに、バロックアートは気にした風もない。
「ただね、やっぱり外聞は悪い訳だよ。剣の英雄が逃げたと思われるのは癪さ。しかも、馬鹿な民衆はボクが民を見捨てたなんて言うかもしれない」
 適材適所、代わりに他の者を救って上げるのにね、とバロックアートは嘯く。肩を竦めて、騎士甲冑から歪な金属音を放つ。
 嗤い、バロックアートはラウルに視線を投げた。
「それを防ぐ為の恰好の理由が、きみさ。こうしよう、ラウルくん?」
 バロックアートは飄々とした様子を崩さない。そのことについてラウルは大きな不安を覚えた。ふと、バロックアートの周りを見つめる。そこには明らかにおかしい部分があった。
 ラウルは声に露骨な怒りを交え、バロックアートにぶつけた。
「あんた……ベールディアたちは何処に置いてきた!?」
「おいおいおいおい! 今話しているのはボクだ。……こうしよう、ラウルくん」
 ラウルの怒声を聞き流し、バロックアートは人差し指を高らかに掲げた。
「剣の英雄バロックアート・クローバーは王都を守る防衛戦の中、今日処刑される筈の無の英雄ラウル・シーンスから妨害を受けた。迎撃には成功するが、継戦は不可能と判断。やむなく撤退した……とね。その際、仲間も全滅、とでもしておこうか。なんだったら、この件の首謀者をきみにしても良いかな」
「て、めえ!」
 聞き捨てられない、台詞があった。
 仲間が全滅、とバロックアートは確かに言った。奴の仲間にはベールディアがいた。全滅ということは、つまり――、
「悪い、あんたは降りて先に行っててくれ。気を付けてな」
 ラウルは凍えるような声で以て、酒場の主人をふわふわの上から降ろした。
 しっかりと、憤怒の籠もった視線をバロックアートに叩き付ける。
 酒場の主人は状況を察し、ラウルの邪魔にならないように脇目も振らず、全力で逃げ去ろうとしている。その背中を見つめながら、ラウルは意外そうな表情になる。
「驚いた。逃がすんだな、バロックアート。あんたのことだ。目撃者の始末くらいやりそうなもんだが?」
「何を言っているんだい? 当然、やるとも」
 そのとき、既にバロックアートは剣の権能を解き放とうとしていた。
「この距離なら、ボクは容易く彼を殺せるよ」
 バロックアートは冷酷な死刑宣告を述べた後、即座に剣を振りかぶった。剣の英雄による身勝手な死刑が執行される――よりも早く、ラウルが動いた。

 

前回・次回

 前回(39話)・次回(41話)

 

 

反省会

 さて、今回の反省会は、自分で言っていてダメージが多い系のお話になります。

 

 要するにプロットのできが悪いのです。これは致命的かつ根本的な問題ですね。同じような展開が続くのも最悪ですが(もちろん、本来の予想ではここまで酷くならない予定だったのです。ページ数に収めるために削った会話パートが無い所為で、わたくしの想定を超えてダメダメになったのです。ただ、これはわたくしがイベントを一つにまとめるなりすれば簡単に改善できたので、それを怠ったのが敗因です)、キャラクターの動きが唐突なのです。

 

 場面場面を見せているだけで、その繋ぎがないために小説の形態として不自然ですね。

 

 プロット時点で分量が増えることを想定していなかったのもいけません。また、増えて削るならば削るで、もっとがっつりと削るべきでした。一から手を加える気持ちで。

 ここからしばらく、わたくしは自らの怠惰によって引き起こした醜態を晒すことになります。別に、プライドなんて欠片もございませんけれど、それでも、ここまで酷いモノを見せなくてはならないのは心が痛いです。

 

 自分で始めたことではありますがね……

 

 これも、わたくしの成長のためには仕方のないことです。恥ずかしい部分を隠すだけでは、きっと成長は望めませんから。

 

 というか、好きなことで手を抜くとかあり得ませんよね。自分のことながら目を疑います。面倒くさがってクオリティーを落とすだなんて、お話を書くための一ヶ月をどぶに捨てたようなモノですよ。ほんと、ここいらで一発、束木にはきつめのお灸を据えねばですね。

 

 新作では、反省を活かして容赦のないプロット作り、推敲をするつもりです。

 

 けれど、実はわたくしブログの推敲はしたことがありません。何故かというと、面倒だから……だから駄目なのでしょうけれど、どうしてもブログでは手を抜いてしまいます。理由はありますが、まあ、簡単にまとめますと、独り言を録音して一人で聴く趣味はないということです。

 悲しいですね。

 

 

 

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